第2章 いろいろな印刷物を読む

この章では、よむべえを使っていろいろな印刷物を読む方法を説明します。

2.1.原稿の置き方

印刷物によっては、原稿の置き方しだいで読み取りの精度を上げることができます。
うまく読ませるためには、まず以下の基本をマスターしておくとよいでしょう。

 原稿の置き方のコツ
  • 原稿の端をイメージスキャナの左手前隅に合わせるように置く。
  • 余計な光が入らないように、イメージスキャナのフタをしっかりと閉める。
  • 原稿が浮き上がらないように、フタを上から均等に押さえる。

つぎに、各種印刷物を読ませる際の注意点を説明します。

書籍の場合

小説などの書籍は、よむべえがもっとも得意とする印刷物のひとつです。そのため、読み取り精度は通常きわめて高く、読み取った内容をそのまま聴けば内容を理解できます。ただし、図表や数式が入っている教科書や専門用語の多い書籍などは一部、正しく読まない部分もあります。

書籍を読ませる場合は、1ページずつめくって読み取ります。よむべえは原稿の向きを自動的に認識しますので、縦書き・横書きの文章にかかわらず正しく読み上げることができます。

書籍の1ページをスキャンしているところ 本の置き方

文庫本や四六判程度の本であれば、見開きで2ページを一度にスキャンすることもできます。この場合、イメージスキャナのフタは完全には閉じませんので、本を乗せた状態でフタを上から押さえるようにしてください。また、本の中央部分がイメージスキャナのガラス面から浮き上がりやすいので注意してください。

書籍を2ページ見開きでスキャンしているところ  本の置き方
 ワンポイント
数十ページ以上の書籍を一度に読み取りたい場合は、 6.1.連続スキャン で説明する連続スキャン機能を使うと便利です。

レシート・請求書などの場合

レシートや請求書などの印刷物は、一般的に文字の書かれている部分が少なく、また使われている紙も小さいことが多いため、少しでも読み取り精度を上げるためにはイメージスキャナの左手前隅にしっかりと揃えることが重要です。また、紙が折れ曲っている場合は、必要に応じて上から文庫本程度の「重石」を載せてもよいでしょう。

レシートをスキャンしているところ  置き方

レシートや請求書などの印刷物は、通常、数字以外の文字の書かれている部分が少なく、そのまま読み上げただけでは内容がよくわからないことがあります。このようなときは、十字キーを使って、前後の文脈から数字の意味を類推する必要があるかもしれません。また、レシートや請求書を印刷したプリンタの機種によっては、よむべえで正しく読まないものもあります。

新聞の場合

新聞を読ませる際に注意することとして、新聞紙は薄いので、シワがよりやすいということがあります。また束になって折られている新聞紙は折り目の部分がイメージスキャナのガラス面から浮き上がりやすいので、できれば新聞紙を1枚ずつ分けて読み取らせるのが理想です。新聞紙の上からなにか大きめの冊子を載せ、ちょうど新聞紙にアイロンをかけるような要領でゆっくりとシワをのばし、その状態でフタを閉めるのがコツです。

新聞をスキャンしているところ

よむべえは、理想的な状態で読み取りがおこなわれれば、新聞記事をある程度正しく読み上げます。しかし、途中に折れて盛り上がっている部分やインクのかすれている部分があると、正しく読まないことがあります。また、記事のレイアウトの関係で、文章の順番を間違えることもあります。

2.2.銀行通帳を読む

よむべえには、通常の印刷物とは別に、「通帳スキャン」と呼ばれる通帳を読むための特別の機能がついています。通帳スキャンをおこなうには、通帳を正しく置く必要があります。まず通帳を開き、イメージスキャナのガラス面にセットします。このとき、なるべく通帳の上側がイメージスキャナの手前側にくるように置いてください。また、通帳の綴じてある真ん中の部分は浮き上がりやすいので、読み取り中はイメージスキャナのフタをしっかり抑えて、通帳が浮き上がらないようにしてください。

銀行通帳をスキャンしているところ

通帳を置いたら、通帳スキャン機能を実行します。

 キー説明
通帳スキャンを実行するには、かんたんプレートをはずした状態で、操作パネルの右上端にある補助キーBSを押しながら 読み取りキーEnterを2回押します。
精密スキャンのキー表示
 注意
通帳スキャンは通常の読み取りよりも長い時間がかかります。読み取り完了のアナウンスがあるまでは、通帳を動かさないよう注意してください。

読み取りが完了すると、まず通帳の最後の行に書かれている残高が「最新の残高」としてアナウンスされます。次に、通帳の最初の行から順に読み上げが始まります。通帳の読み上げは他の文書と違い、通帳の各行ごとにそれぞれ日付、残高、備考が読み上げられます。「備考」とは、日付と残高の欄以外に書かれている部分です。備考欄に書かれているのは、おもに名目や引き出し額、支店名といったものですが、実際の内容はお使いの銀行通帳によって異なります。

銀行通帳の内容

よむべえは、残高の数字に自信がない場合、1桁ずつ読み上げます。 たとえば「1200円」の3番目のゼロが「○ (まる)」として認識された場合などは、 「1、2、まる、ゼロ」のように発音します。

 ワンポイント
よむべえは通常読み取ったページをすべて保管していますが、銀行通帳は通常の文書とは分けて管理され、「通帳ページ」と呼ばれる特別な文書で管理されます。
電源を切ると、これら銀行通帳の内容はすべて消去され、銀行口座に関する情報がよむべえ内部に保存されることはありません。

2.3.読み上げ方式を変える

印刷物によっては、よむべえの読む順番がわかりにくい場合があります。 このようなときは現在のページの読み上げ方式を変更すると、 わかりやすい内容で聴くことができます。

 キー説明
いま読んでいるページの読み上げ方式を変更するには、 かんたんプレートをはずした状態で、 操作パネルの右上端にある補助キーBSを押しながら 情報キー+を押します。

このキーを押すたびに、現在の読み上げ方式が 「一般的な印刷物」→「書籍」→「新聞や雑誌」→「ビジネス文書」→「請求書やレシート」 の順に変わります。決定したいところで読み取りキーEnterを押すと、 読み上げ方式が変更され、現在のページがその方式で読み上げられるようになります。

読み上げ方式の切り換え

読み上げ方式には、以下のものがあります:

 ワンポイント
ある読み上げ方式でうまく読まない場合は、 別の読み上げ方式に切り換えてみてください。
 注意
読み上げ方式を「新聞・雑誌」に切り換えた場合は、 読み上げまでに時間がかかる場合があります。 故障ではありませんので、そのまま読み上げが始まるまでお待ちください。

2.4.うまく読まないときは

よむべえはさまざまな印刷物を認識しますが、色がついていたり、背景にすかしが入っている印刷物の中にはうまく読み取れないものがあります。このような印刷物は、通常の読み取りをおこなっても意味のあることをほとんどしゃべらない場合があります。このような場合は「精密スキャン」という操作をおこなうことで、通常の読み取りとは若干異なる方法で印刷物を解析させることができます。

 キー説明
精密スキャンを実行するには、取り消しキーtabを押しながら 読み取りキーEnterを2回押します。
通帳スキャンのキー表示
 注意
精密スキャンは通常の読み取りよりも長い時間がかかります。読み取り完了のアナウンスがあるまでは、印刷物を動かさないよう注意してください。

精密スキャンが得意とするのは、通常の書籍以外のもの、チラシや請求書、封筒などの印刷物です。また、新聞も通常のスキャンよりわかりやすい順序で読み上げることがありますが、印刷物によっては、精密スキャンのよりも通常の読み取りのほうがよい結果が得られることもあります。

 ワンポイント
精密スキャンでは、結果が読み上げられるまでに通常よりも時間がかかるため、まず通常の読み取り操作を実行してみて、結果に不満があるときにのみ精密スキャンをおこなうのがよいでしょう。

2.5.漢字の詳細読み

よむべえはときどき漢字を間違えて読むことがあります。また、同じ読みをもつ異なる漢字からなる単語で、音声で読んだだけでは区別できない単語もあります(たとえば「公海」「黄海」「紅海」など)。このような場合、よむべえでは漢字の詳細読みという操作を使って、漢字を1文字ずつ細かく読み上げることができます。

 キー説明
漢字の詳細読みをおこなうには、かんたんプレートをはずした状態で、 取り消しキーtabを押しながら 左キー4または右キー6を押します。

漢字の詳細読みをおこなう場合、よむべえは通常の文よりもさらに細かい単位で移動します。よむべえは現在読み上げている文字の位置を覚えており、この後、続けて取り消しキーtabを押しながら 左キー4を押すとひとつ前の文字を、 右キー6を押すとひとつ次の文字を読み上げていきます。

漢字の詳細読み

詳細読みをやめるには、上キー8または下キー2、あるいは停止・再開キー5を押すと、通常の文を読み上げる状態に戻ります。